対談

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対談 2014/5/20

ブランドの世界を表現する店鋪づくり 塩見一郎×辻口博啓

今回のゲストはインテリアデザイナー 塩見一郎さん(設計事務所 spinoff)です。2014年3月28日にオープンした「和楽紅屋 麻布十番本店」を始めとする数々の辻口ブランドの店鋪設計を手掛ける塩見さんに、和楽紅屋 麻布十番本店の店鋪設計時のエピソードを交えながら、ブランドの世界を表現する店鋪づくり、また海外でのビジネス展開のお話などを辻口シェフが伺いました。

文 編集部 写真 中本浩平

ブランドに合わせたデザインの発想

辻口: 塩見さんは、「LE CHOCOLAT DE H 六本木店」で初めてお仕事をさせていただいて、斬新なデザインですごいな、店鋪ってデザインでこんなに変わるんだ、と思って。そして名古屋「フォルテシモ アッシュ」も塩見さんのデザインで、今でも店鋪に行くといい作りだな、とあらためて思います。塩見さんが店鋪作りをする上で、これだけは外せない、というポイントはありますか?

塩見: そのブランドがどういうブランドか、ということを考えていますね。辻口さんの場合は、あまり細かい指定がなくて(笑)、いつも新しいことにチャレンジしてるその時の辻口さんの姿を見て、今どういうものを出して行きたいか、ということを想像して、あとはキーワードなどをいただきながらこちらで考えて提案しています。そこがすごく刺激的ですね。
例えば「フォルテシモ アッシュ」の場合は、辻口さんの集大成のサロンを作ろう、ということで、街のケーキ屋さんとは明らかに違うデザインを狙いました。

辻口: 「フォルテシモ アッシュ」のバリ風の扉はすごいな、と思って。なかなかあそこにたどりつかないな、と。ああいうのはどこから発想するんですか?

塩見: あれは実際にインドネシアで作ったんですよ。辻口さんがスイーツを作る時に世界のさまざまな素材を入れるのを見て、ちょっと違うエッセンスを入れたい、と思って。全体的にまとまってる中、エッジの効いた要素を入れることで、ぎりぎり調和がとれる。やり過ぎ感が出てしまわないよう、そのバランスはすごく考えています。

辻口: 同業のケーキ屋さんからは現在でもよく店を見せてほしいと言われますよ(笑)。

塩見: 「フォルテシモ アッシュ」の入り口の白いドーナツ形のモニュメントも、実は著名なイギリス人彫刻家の作品なんです。飾っているだけじゃなく、子どもが上って遊んだり、ケーキを買いにきたお母さんが座ったり、といったことができるように考えて設置したものです。

辻口: そういった選択・チョイス・プロデュースは、自分では発想の引き出しがなくてなかなかできません。今回の「和楽紅屋 麻布十番本店」でも、ショーケースに落ち葉を敷き詰めて、LED照明で浮き立たせている。夜になると目立つし、とても斬新なアイデアです。

塩見: あれは「紅屋」の名前が持つニュアンスを表現したくて、紅葉のイメージで。実は工事が冬だったので葉っぱを集めるのが大変でした(笑)。冬の落ち葉はもう茶色になっていたので、全国どこにいけば紅葉のイメージに合う落ち葉があるか調べたりして。結局大阪で見つかったんですけど(笑)。落ち葉をアクリルでサンドイッチして空気に触れないようにしているので、色も褪せません。


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