対談

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対談 2012/2/29

日本の食文化を海外に伝える 楠本修二郎×辻口博啓

カフェ・カンパニーの代表取締役社長、楠本修二郎さんは、街づくりの視点から考え、地域にあわせた多様なカフェ・飲食店を展開しています。今回、シンガポールに拠点を置いた経済産業省「クール・ジャパン/クリエイティブ産業政策」における取り組みなど、日本の食文化を海外に伝えるお話を伺いました。辻口シェフもクール・ジャパンの現地イベントで世界に向けて日本の食の魅力をプレゼンテーション予定で、志を同じくする2人による熱い対談となりました。

文 橋本紀子  写真 堀口宏明

CAFEで地域に根ざした「場」づくりを

辻口: 楠本さんがカフェ・カンパニーを始められたのはいつ頃ですか。

楠本: 10年前です。そろそろ11年になります。

辻口: 「WIRED CAFE」を始め、お店をこれだけたくさんつくられていて。確固としたビジョンがなければ、こうやってブランドを拡げていくというのは難しいと思うんですよ。

楠本: 「カフェのある風景を創る」をフィロソフィ—としていますが、社名のCAFEというのは「Community Access For Everyone」からの造語で、僕らがやっているのは要するに日本の現代生活が忘れてしまっている地域に根ざした“集まり場”づくりです。

辻口: いわゆるカフェではない?

楠本: カフェもありますが、場所によっては居酒屋だったり、食堂だったり。業種業態的な意味合いよりも、その街にあうキャラクターを表現していったら、こうなりました。

辻口: そういったビジョンや理念は、お店をつくり上げていくプロセスのなかでどんどん集約されていったのでしょうか。

楠本: 僕らの原点は渋谷のキャットストリートの開発を手がけたところに遡ります。キャットストリートは1964年の東京オリンピックのときに渋谷川を埋め立ててできた場所で、元々は裏道です。昔から住んでいた方々の生活動線でもありました。通りを活性化させる手段としてカフェを街に置いた。そうしたら、地元に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんと、街にくる若者たち、ちょっとすかしたモヒカンくんたちが語らいを始めて。そのマリアージュを見て僕らも驚いたわけです。

辻口: 自然に交流が生まれていったんですか。

楠本: そうなんです。どうしてこういう化学反応をしているのだろうとお店をやりながら観察していくと、いろいろ副次的な理由が分かってきます。その理由を紐解いて、地域に根ざした「場」づくりをしていけば、ちょっとおおげさですけれど、地球上の70億人とどうつながりあえるか、に続いていくのではないかと。

辻口: 集まる「場」があれば、人と人とが出会い、コミュニティを再生することも、新たなつながりを生むこともできる。そういう空気をつくる場の力は大きいですね。私も今三重県で、15,000坪の広大な土地に、パティスリー、レストラン、スパ施設などが集まった複合施設のプロジェクトを進めていますが、そういった場になることを期待しています。


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