レポート

◀次へ 前へ▶

パリ 2012/2/24

好奇心を刺激するクリエーション「ユゴー&ヴィクトー」

二等辺三角形のタルト。組み合わせると大きなタルトになるのが特徴的で、斬新なアイデアによるものです。

二等辺三角形のタルト。組み合わせると大きなタルトになるのが特徴的で、斬新なアイデアによるものです。

日本ではドーム型のキャラメル入りチョコレートが知られていますが、この店の象徴的と言えるアイテムは、2つあると私は思っています。一つは2等辺三角形のタルト。今までのタルトにはない形で、ステキなのは色々な味わいのタルトをパズルのように組み立てると円形になるというアイディア。1つの味わいのタルトでは物足りない、あるいは、パーティーなどのプレゼンテーションに喜ばれる、美しいサプライズとなるでしょう。もう1つは“ルリジューズ”。2つの大小のシューが重ねられた伝統菓子ですが、この店のルリジューズはアイディアも見た目もピカイチと思います。

春になる手前の素材ブラッドオレンジを使ったルリジューズ。上のシューにはクリームの他、細かく刻んだコンフィも入っており、フレッシュさが倍増します。

春になる手前の素材ブラッドオレンジを使ったルリジューズ。上のシューにはクリームの他、細かく刻んだコンフィも入っており、フレッシュさが倍増します。

冬に提供されていた、見た目にはとてもふくよかで頭を傾けたような少しアンバランスなフォルムが特徴的な“栗のルリジューズ”は、かなりの逸品でした。上のシューにはマロンクリーム入りのクレーム・シャンティとマロンクリームを2層にして詰めたもの。そして下のシューには、マロン風味の、クレーム・シャンティをあわせたクレーム・パティシエールを詰めているのですが、砕いたマロン・グラッセがゴロゴロと入ったとても贅沢な味わいでした。

現在のルリジューズは、ブラッドオレンジ味。果汁たっぷりのクレーム・パティシエール、そして細かく切り刻んだオレンジのコンフィで、大人の苦味が立つ、エレガントな味わいに。

故郷、南仏イエールに所有する自前の果樹園で栽培するコブミカン。ライムの一種でエキゾチックな酸味が特徴的です。

故郷、南仏イエールに所有する自前の果樹園で栽培するコブミカン。ライムの一種でエキゾチックな酸味が特徴的です。

素材を中心に据えた店作りだからこそ、素材選びに余念がないのも、この店ならではのこだわり。店のために特別に栽培をしてくれる業者と取引を広げているほか、コンバワと呼ばれるインドネシア原産のコブミカン、そしてクマツヅラは、南仏の自家菜園から運ばせています。

お客さまに、素材の再発見、そして今まで出合ったことのない素材との出会いを楽しんでもらいたい、という2人。これからも季節毎に足を運ぶのが愉しみになってきました。

詳細

名称:Hugo&Victor/ユゴー&ヴィクトー
住所:40 bd Raspail 75007 Paris
電話:01.44.39.97.73
営業時間:9:00~19:00(月~水)9:00~20:00(木~土)10:00~13:00(日)無休
Web:hugovictor.com

プロフィール

伊藤文(いとうあや):料理ジャーナリスト
1993年渡仏。コルドンブルー料理学校パリ校卒業後、フランスの食文化を掘り下げる取材を重ねる。
著書に『フランスお菓子おみやげ旅行』、訳書に『招客必携』、『ロブション自伝』など多数。

こんな記事もどうぞ