〜プロローグ〜 「Modern酒道」を体験!

ワインやシャンパーニュが大好き!という女性にこそ、ぜひ味わってほしい日本酒があります。2011年初秋、百貨店の企画でコラボした際、辻口シェフの創造性を、甘美なひと口で刺激したのが仙台・伊達家御用蔵、勝山酒造の「元」でした。深まる秋の宵、蔵元の伊澤治平さんを招き、辻口ブランドのスーシェフたちを集めて試飲会を開催。サプライズな飲み方で、その奥行きを体験する会は大盛り上がりに。ここから、日本酒&スイーツの新たな旅が始まります。
文 橋本紀子 写真 中本浩平
【参加者の皆様】勝山酒造 伊澤治平さんとモンサンクレール 辻口博啓シェフを中央に、
左から
和楽紅屋 池田龍一シェフ
SUPER SWEETS SCHOOL自由が丘校 横田康子先生
モンサンクレール 脇坂紘行スーシェフ
ル ショコラ ドゥ アッシュ 若林繁シェフ
マリアージュ ドゥ ファリーヌ・コンフィチュールアッシュ 保坂茂シェフ
1. デザートやカフェまでをおいしくする日本酒
テーブルに、生ハム、干しぶどう、チーズ、パン、イチゴや洋梨などのフルーツ類。ふだんワインやシャンパンを片手につまむことの多い食材ですが、これから始まるのは勝山酒造の日本酒の試飲会。12代目蔵元の伊澤治平さんは、ソムリエと利酒師の資格をもち、日本酒を遊び心いっぱいに楽しむ「Modern酒道」の伝道者。これらの食材もただつまむのではなく、味わいを豊かに広げる演出が待っています。
用意されたのは、「暁」と「元」の2銘柄。なかでも「元」は、以前、飲んだ瞬間に辻口シェフのインスピレーションの閃きを呼んだ日本酒です。
「いままで日本酒は、キレイな味わいを求めると淡麗辛口で旨味がなくなり、旨味を出そうとすると酒粕からの雑味が出るのが問題だった」と伊澤さん。足元を見つめ直し、食中酒としてあらゆる料理にフィットし、世界が憧れる“液体の宝石”造りを追究しました。
一方で、より素材の持ち味をクローズアップする現代の料理に、ワインが本当に最高のマリアージュを果たしているといえるのか、という問いかけも。「ワインは酸味が主体のお酒で、瞬間のマリアージュは楽しめるが、料理の風味や旨味を引き出してはいない。酸味やタンニンが次のひと皿との間を寸断してしまう。」
「暁」は日本に数台しかない遠心分離器を使って搾り、純度を高めています。毎分2300回転というスピードで酒粕を飛ばし、ピュアなエッセンスを抽出。香り立ちからアフターテイストまでしっかりとした骨格をもち、かつ雑味のないキレイなお酒造りを叶えました。
「元」は仕込み水が極端に少ない元禄時代の純米造りがベースで、お米のまろやかな甘さと風味を味わいます。口のなかでさっと溶けるような切れのよさがあり、強い粘性を持ちながら果糖ではないためべたつき感を残しません。高貴なるソーテルヌワインの10倍の旨味も。
「旨味が主体の日本酒は、食中酒にすることで料理の旨味と重なりあい、料理の味をぐっと引き立てます。また、余韻がきわめて長いため、旨味の余韻を途切らせることなく次のひと皿を迎えることができる。酸やタンニンと違って舌の味蕾を狂わせないので、デザートや最後のエスプレッソまでをもおいしくします」と伊澤さんは胸を張ります。
テイスティングが進んでいくと「素晴らしい」「これはいい!」という声がシェフたちから上がりました。日本酒の甘く優しい香りのグラスを手にして、室内の空気もあたたまってきたようです。
