星を受けてさらに世界を広げる『レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ』

2008.10.12

大好きなお店のひとつ、『レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ』にてランチ。

昨年のミシュランで一つ星を取ったことに刺激を受けてか、1月に伺った際には、料理にもサービスにもはっきりとした変革が見られ、特に料理において、成澤シェフ独自の「クレアシヨン(=クリエイション)」がその世界を発展させようと模索しているのが読み取れました。そして、楽しみにして行った今回・・、期待を裏切らないギュンギュンのパワーアップ!!コースの価格は一部上がりましたが、その分、より生き生きと表現されるようになった成澤シェフの世界を存分に楽しんで参りました~~。

 

小前菜(左の写真)として出てきたのは、そば粉とビールで揚げたメヒカリのベニエ、そして、ラディッシュ・・は泥つきのまま??と思いきや、なんと、土に見立てたマスタードの粒!低温の油でじっくりと揚げたものだそう。左端にチョコンと置かれているのは、これもれっきとした野菜の1つで、コーピエット(和名ですべりひゆ)という信州の菜っ葉野菜なんだとか。強い風味はなく、ちょっと汁に粘りがありました。

 

前菜は、カブ、京人参、白インゲン、インカのめざめ(さつまいものように甘味とねっとり感のあるじゃがいも)、みょうがなど、30種類もの温野菜を使った温製サラダ。彩りがかぶらないように盛り付けられていて、まるで宝石箱のよう・・。と、白い蓋つきの円柱状の器が目の前に差し出され、その蓋が開けられると、ホワホワ~ンと白い煙が。その中から皿の端に手早く盛りつけられたのは、ホタテやツブ貝などの貝類の燻製。こんなプレゼンテーションが昼から楽しめるなんて!

 

魚の主菜は、甘鯛のポワレ。ディルで風味づけしたポワローとセロリの角切りが敷かれ、干しダラとじゃがいもをクリーム状にしたものが挟まれていました。

 

続く肉の主菜は、ウズラのガランティーヌ(左の写真)。中をくり抜いて詰め物をした料理です。鶏肉のムースとカラス茸が詰められ、淡い食感ながら食べ応えと輪郭のある味わい。コレコレ!そして、火にかけたものに感じられる力強い火の名残り、見た目の美しさ、私の思うナリサワらしさはこういったことなんですが、いや、もうね、ホント、素晴らしい。ちなみに、グリーンのソースはパセリで、上に添えられているのはニンニク風味のピュレ。

 

パンは三宿の高級ブーランジェリー、シニフィアン・シニフィエのもので、カシス入りのバゲットやハチミツ風のチャバッタなどが盛りつけられ、その隅にはなぜか植木鉢が。飾りだと思ったら、またもサプライズ。実はこれ、バターなんです。黒い部分は粉砕して乾燥させた黒オリーブで、中にホイップしたバターが入っているといった具合。ほほぅ・・、なんかもう、どこから斬りこまれるかわからなくて一瞬たりとも気が抜けん、といった気分(笑)。

 

質感からグラニタと思い込んでいた口直しは、口に運んでみると生の梨だったのでまたもビックリ。ただ、ガストロバックという機械で加圧してあるとのことでシャキシャキ感が少しおさえられており、梨のジュレがかけられていたこともあって、お菓子的に感じられる一品でした。中には青柚子風味のクレームブリュレが。

 

次に出されたモンブラン!これがまた非常においしくて、出席者全員から大好評。 焼いたメレンゲの中をくり抜いてたっぷりの生クリームとラムレーズンのアイスを詰めてあり、ラム酒のシロップが添えられていました。

私はこれまで、モンブランクリームとメレンゲの組み合わせは好きではなかったんですが、初めて美味しいと感じました。量のバランスひとつでこれほどまで劇的に印象が変わるとは!!

 

そして、最後はお茶のための小菓子、昼でもワゴンでガラガラと運ばれて来ます。栗のパリブレスト、生チョコのケーキ、サヴァランなど7種類ものケーキから、マシュマロ、マカロンなどの焼き菓子まで、すべてが手作り。どれもおいしいので、勇気を出して、ぜひ、「全部!」とオーダーを。

 

 

 

以上が、成澤シェフの洗練された創造性の世界、ある日の全貌。一番安いコースが4000円台から7000円台になって初の来店だったので、行く前には、「ランチとしてはちょっと高いな」とも思いましたが、内容からするとむしろ安いくらいです。本来、私は、フレンチは重めで郷土的な、見た目もあまり飾り気のない方が好きなのですが、こちらの料理は別。何が出てきても味として好みのツボにハマるし、店舗デザインなども含め、一歩店に足を踏み入れてから退店するまでのほぼすべてにおいて、トータルに美学が反映されているので、その一環としての料理の美しさに共感できるからです。今年のミシュランでどう評価されるかはわかりませんが、その如何にかかわらず、1ファンとしてナリサワのこれからが楽しみです。

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